母親に愛された記憶がない」「衣食住に無関心だった」
もしあなたがそう感じているなら、あなたの母親は“毒親”の中でも「ネグレクト(育児放棄)タイプ」である可能性があります。
親から必要な愛情や支えを得られなかった子どもの心の傷は、成長後の人間関係や自己肯定感に深く影響します。しかし、あなたは決して一人ではありません。
この記事では、精神科看護師・毒親専門カウンセラーとして活動する私が、ネグレクト型毒親の特徴・影響・対処法・心の整理の仕方について詳しく解説します。
「母親の呪縛から自由になりたい」
そんなあなたの人生が少しでも軽くなるためのヒントになれば幸いです。
母親が毒親「ネグレクトタイプ」とは?
毒親とは、子どもに心理的・身体的な悪影響を与える親のこと。
その中でも「ネグレクト(育児放棄)」タイプは、“無関心”という形の見えない暴力が特徴です。
ネグレクト型毒親の主な特徴
ネグレクト親は、本来子どもの“安全基地”となるべき存在であるにもかかわらず、その役割を果たしません。典型的な特徴は以下のとおりです。
- 衣食住への無関心:食事を用意しない、季節に合った服を与えない、病気でも放置する
- 情緒的な無視:話を聞かない、目を見ない、スキンシップがない
- 教育・成長への関心の欠如:学校、進路、人間関係への無関心
近年、心理学でも「これは放任主義ではなく、深刻な心の損傷を与える虐待行為」として扱われています。
大人になってから現れる影響
ネグレクトを受けた子どもは、周囲からの愛情や承認を得られなかったため、以下のような問題を抱えやすくなります。
- 人との距離感が分からない
- 他人の反応を異常に気にしてしまう
- 「助けて」が言えない
- 依存・回避など極端な対人パターンになりやすい
深刻なのは、「自分は愛される価値がない」という自己否定が、無意識の中で大人まで持ち越されてしまうことです。
【事例】ネグレクト経験者が抱える苦悩と回復への道
ここでは、実際にネグレクト環境で育った女性のケースを紹介します。
事例:自己肯定感を失った女性のケース
彼女は幼い頃から母親に無視され、感情的サポートをまったく得られずに育ちました。そのため成人後も「私は無価値」「人に嫌われる」と強い不安を抱えていました。
しかし、次の2つの方法を続けることで、少しずつ回復し始めました。
- 言葉にならない苦しみを絵や色で表現することで、心の奥に押し込めた感情が解放されました。
- “感情化 → 自己理解”という回復の最初のステップです
「今日は絵を描けた」「人に優しくできた」など、小さくても自分を肯定する経験を積むことが、壊れた自己肯定感を補う助けになりました。
ネグレクト母への具体的な対処法3選
急にすべてを変えようとすると、心が折れてしまいます。
できるものから、あなたのペースで始めましょう。
1. 感情を書き出して整理する(ジャーナリング)
- 心に溜めてきた感情をノートへ書き出し、言語化することで、自分の体験を“客観視”できるようになります。
- 「辛かった」「寂しかった」などの感情を認めることが、癒やしの第一歩です。
2. バウンダリー(境界線)を引く
- ネグレクト母に対しては、「親の人生=親の責任」と線引きをすることが不可欠です。
- 期待をやめ、必要に応じて心の距離や物理的距離を置くことで、精神的な消耗を減らせます。
3. 第三者・専門家の助けを借りる
- 毒親問題は一人で抱えるほど深刻化します。
- 安全な第三者(友人、相談窓口、カウンセラーなど)と繋がり、客観的視点と安心感を得ることが重要です。
【注意】対処法を実践する際のリスク
親との関係性を変えると、次のような反応が返ってくることがあります。
- 急に冷たくなる、逆上するなど関係悪化の可能性
- 精神的な負担やフラッシュバック
- 過度の罪悪感
忘れないでほしいのは、「戦うこと」ではなく「あなたが幸せになること」が目的だということ。
危険を感じたら迷わず距離を取り、自分を守る行動を最優先にしてください。
精神科看護師・毒親専門カウンセラーとしての視点
私は精神科看護師としてデイケア・訪問看護に従事しつつ、毒親専門カウンセラーとして相談を受けています。
「疎遠」か「共依存」か
ネグレクト母との関係性は、大きく二つに分かれます。
- 疎遠:物理的に距離を置く
- 共依存:「いつか愛されるはず」と期待して離れられない
後者は時間がかかり、精神的負担も非常に大きいケースです。
カウンセリングで「本音」を見つける
カウンセリングでは「あなたは本当はどうしたいのか?」を一緒に丁寧に探ります。
ほとんどの場合、答えはすでにあなたの中にあります。
その答えを引き出し、整理し、安心して話せる時間を持つことで、心の回復が進んでいきます。
今行き詰まっているなら、一度相談してみてください。
一緒に、あなたにとって最善の答えを見つけていきましょう。
まとめ
ネグレクトタイプの母親を持つと、自己肯定感や対人関係で深い影響を受けます。しかし、それはあなたの価値とは無関係です。
過去は変えられなくても、未来は選ぶことができます。
まずは、自分自身を責めるのをやめ、小さな一歩から始めてみませんか?
次回は、「母親が毒親で『脅迫・脅しタイプ』の場合」についてお話しします。

