毒親、特に「脅迫」や「脅し」を使う母親との関係は、心に深い傷を残します。 誰にも理解されない孤独感、苦しみ、そして「自由になりたい」という切実な渇望。
「どうすればこの苦しみから抜け出せるの?」
そんなあなたにこそ知ってほしい、具体的な対処法があります。 精神科看護師兼カウンセラーとしての視点から、あなたの心の解放に向けて、一緒に歩んでいきましょう。
脅迫・脅しで支配する「毒親(母親)」の特徴
毒親とは、本来与えられるべき愛情やサポートではなく、精神的な苦痛を与える親のことです。 その中でも「脅迫・脅しタイプ」の母親は、恐怖心を利用して子どもを支配しようとします。
よくある脅し文句と心理
このタイプの母親は、以下のような言葉で子どもの「罪悪感」や「不安」を刺激します。
- 「私があなたを育ててあげたのに(恩着せがましさ)」
- 「私がいなかったら、あなたは生きていけない(無力感の植え付け)」
- 「言うことを聞かないなら勘当する(見捨てられ不安)」
その結果、子どもは「お母さんの言う通りにしないと大変なことになる」と思い込まされ、心は縛られ、自由を奪われてしまいます。
脅迫タイプが子どもに与える深刻な影響
こうした環境で育つと、大人になっても以下のような影響が残り続けます。
- 常に「愛されていないのでは?」という不安がある
- 自己肯定感が低く、自分に価値を感じられない
- 「NO」と言えず、人間関係で搾取されやすい
母親の背中を追い求めても、そこにあるのは無条件の愛ではなく、トゲだらけの現実です。 まずは「今の苦しみは自分のせいではない」と認識することが、回復への第一歩です。
【対処法】毒親の支配から自分を守る3ステップ
脅迫や脅しに立ち向かうには、勇気が必要です。 しかし、いきなり戦う必要はありません。まずは自分を守るための小さな行動から始めましょう。
STEP1:言葉を真に受けず、冷静に受け止める
母親が「私がいなければダメだ」と言っても、それはあなたを支配するための嘘です。 「それはお母さんの意見であって、事実ではない」と心の中で唱え、感情的に巻き込まれないようにしましょう。
STEP2:小さな「NO」と「自己主張」
例えば、「友達と遊びたい」と言った際に「帰ってこなくていい」と脅されたとします。 ここで屈するのではなく、冷静にこう伝えてみてください。
- 「私には私の自由がある」
- 「友達との約束は守る」
感情を押し殺さず、理性的に「それは違う」と伝える積み重ねが、支配から抜け出す力になります。
STEP3:物理的・心理的な距離を置く
「NO」と言うのが難しい場合は、距離を置くこと(逃げること)を恐れないでください。 物理的に離れるのが一番ですが、心の中で「親の問題」と「自分の人生」を切り離すだけでも、自分を守る大きな盾になります。
カウンセリングの「メリット」と「現実」
心の傷を癒やすために、専門家の力を借りることは非常に有効です。 しかし、良い面ばかりではありません。ここでは、現場の視点からメリットとデメリット(注意点)を包み隠さずお伝えします。
カウンセリングのメリット
- 感情の整理ができる:安全な場所で話すことで、絡まった感情が解け、自己理解が深まります。
- 「解放感」が得られる: 誰かに共感してもらうことで、一人で抱え込んでいた重荷が軽くなります。
- 自己肯定感の回復:「あなたは愛される価値がある」と実感できるサポートを受けられます。
知っておくべき「限界」と「注意点」
一方で、以下のような現実もあります。
- 経済的な負担: 継続して通う場合、コストがかかります。
- 即効性はない: カウンセリングで学んだ対処法が、家庭ですぐに通じるとは限りません。
- 親からの妨害: せっかく前向きになれても、親の一言で心が折れそうになることがあります。
それでも、「自分には味方がいる」と思えることは、毒親と対峙する上で何よりの強みになります。 信頼できるカウンセラーを選び、焦らず自分のペースで進めていくことが大切です。
私の体験談【精神科看護師・カウンセラーの視点】
「カゴの中の鳥」からの脱出
私は普段、精神科の看護師として働きながら、毒親専門のカウンセラーをしています。
今回お話しした「脅迫・脅しタイプ」の母親は、子どもを「所有物」のように扱う傾向があります。 表面的には愛情深く見えることもありますが、子ども側から見れば、まさにマインドコントロールされている状態です。
恐ろしいのは、本人もその異常さに気づけないまま大人になってしまうケースが多いことです。
「外の世界」を知るきっかけ
多くの方が、恋人やパートナー、信頼できる友人に出会った時に初めて気づきます。 「あれ? 私の家、普通じゃなかったんだ」と。
同世代の人たちが自由に生きている姿や、パートナーからの温かい愛情に触れ、自分が「カゴの中の鳥」だったことに愕然とします。 しかし、その「違和感」こそが、新しい人生への扉です。
愛情や親切な気持ちに触れながら、新たな道を歩んでいくクライアント様の姿を見ることは、私にとって何よりの喜びです。 あなたは一人ではありません。一緒に、自由への一歩を踏み出しましょう。
まとめ
毒親の影響は深く、癒しには時間がかかります。 しかし、自分を大切にする勇気を持ち、小さな一歩を踏み出せば、必ず景色は変わります。
次回は、「両親が毒親で『高圧・威圧タイプ』の場合」について解説します。

